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あいえんきえん

合縁奇縁

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,349 字 · 23 页

青空文庫

女子大学出となると、手に余るだろう」

「何あに、僕だって専門学校だけれど、立派に操縦している」

「余り立派でもないようだぜ」

「可なり操縦している」

「それは認めるけれど」

「僕から話して見ようか?」

「いや、うっかり申込んで恥をかきたくないから」

僕は中学校丈けということの外に、家がお寺だからという心配があった。女は敏感だ。まさか今まで線香の香が沁みてもいまいが、何かで覚られないとも限らない。言い落したが、名はその後竜之助と改めた。木下竜之助なら、武士と見えても、坊主とは思われまい。姓名判断の方からも決して悪くないそうだ。

河合君が誘うものだから、日曜には必ず遊びに行った。澄子さんも大抵来ていた。河合夫婦に澄子さんと僕で郊外散歩に出掛けたこともあった。

「何うだい? 妻から話させようか? もう大丈夫だよ。恥は決してかゝさせないと僕達は見込をつけているんだ」

と或日河合君が会社の応接室へ僕を連れ込んで勧めた。

「宜しく頼む。しかし若し羽振が悪いようだったら、早めに切り上げてくれ給え」

「申込むとなると、妙に気が弱いんだね。会えば冗談なんか言うくせに」

「何しろ此方は山の中から出て来た田舎漢だから」