轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どうほう

同胞

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页

青空文庫

「誰のことも悪く思っちゃいけないって……。」

「悪く思うって……だって君は誰のことも悪くなんか思ってやしないんだろう。」

茂夫は首肯いた。

「それでいいんじゃないか。……お母さんは少し人がよすぎるんだよ。」

日脚の西へ傾いてゆくのがはっきり見えるような、晴れ晴れとした静かな天気だった。すぐ向うに木瓜の真赤な花が、天鵞絨のように光っていた。

「僕が云った通りだろう、」と恒夫は暫くして云った。

茂夫は涙の乾いた眼を瞬いた。

「何が……。」

「何がって……何もかもさ。」

それきり二人は黙り込んで、日向にじっと蹲っていた。縁側がすっかり日蔭になってしまうと、恒夫は俄に空腹を覚えだした。

「腹が空いちゃった。」

「うん、僕も。」と茂夫が応じた。

恒夫は女中から餡パンを貰ってきた。そして二人で頬張っていると、表に人の来た気配がして、出迎る人達の足音がした。二人は急いで餡パンを隠した。然し誰も其処へはやって来なかった。二人は首をひょいと縮こめて、眼と眼でにっこり笑み合って、また餡パンを頬張り初めた。

やって来たのは医者だった。医者は晩になるまで帰らなかった。家の中が何んだかざわざわして、それが重苦しい沈黙の中に浮出していた。