轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页

青空文庫

銀之丞は不思議そうに訊いた。

「是非欲しいのでございますよ」千三屋は熱心であった。「命掛けで欲しいので」

「いよいよもっておかしいな。この鼓で何をする気だ?」

「ちょっとそいつは申されませんなあ」当惑をした様子であった。

「いえないものなら聞きたくもない」銀之丞はそっけなく「その代り鼓も譲ることは出来ぬ」潜り戸を開けてはいろうとした。

「おっとおっと観世様、そいつアどうも困りましたなあ」「ではわけを話すがいい」「ようがす。思い切って話しましょう」「おお話すか、では聞いてやろう」「その代り理由を話しましたら、鼓は譲って戴けましょうね」「胸に落ちたら譲ってやろう」「へえなるほど、胸に落ちたらね。……どうもこいつア困ったなあ。胸に落ちる話じゃねえんだから。……ええままよ話しっちめえ、それで譲って戴けなかったら、ナーニもう一度盗むまでだ。……世間の黄金を手に入れるために、鼓が必要なのでございますよ」「世間の黄金を手に入れるため?」「ハイ、江戸中の黄金をね。ナニ江戸だけじゃ事が小せえ。日本中の黄金を掻き集めたいんで」「鼓が何んの用に立つな?」「名鼓は金気を感じます。