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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年7月5日~10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,286 字 · 301 页
美しい島でございます。椰子、橄欖、パプラ、バナナ、いちじくなどの珍らしい木々、獅子だの虎だの麒麟だのの、見事な動物も住んでおります。妾の領地でございます。経営の手を待っております。男子一生の仕事として、これほど愉快で華々しいことは、他にあろうとは思われません。そこへ君臨してくださいましと。……すると最初観世様は、妾の恋をお疑いなされ、信じようとはなさいませんでした。でもとうとうお信じくだされ、やがてこのように仰せられました。『よし、お艶、俺は信じる。お前と一緒にその島へ行こう。俺は前から望んでいたのだ! 牢屋へはいるか海外へ行くか、この二つを選びたいとな! 俺は退屈で仕方なかったのだ。その退屈は慰められよう。さあ俺を牢から出せ。俺はお前達の大将となろう。そうしてお前を妻にしよう』――で、あの方は只今では、妾の良人でございます。南洋へ参るのでございます」
この時別荘の四方にあたって、鬨の声がドッと上がった。秋山要介の軍勢が、赤格子征めに取りかかったのであった。
堂々浮かび出た赤格子の巨船
お艶はニコヤカに微笑したが、
「あれは敵でございます。妾達の敵でございます。