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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

……」

「十時になったかい」

「惜しい事にならないね。――紺屋橋を渡り切って川添に東へ上って行くと、按摩に三人あった。そうして犬がしきりに吠えましたよ先生……」

「秋の夜長に川端で犬の遠吠をきくのはちょっと芝居がかりだね。君は落人と云う格だ」

「何かわるい事でもしたんですか」

「これからしようと云うところさ」

「可哀相にヴァイオリンを買うのが悪い事じゃ、音楽学校の生徒はみんな罪人ですよ」

「人が認めない事をすれば、どんないい事をしても罪人さ、だから世の中に罪人ほどあてにならないものはない。耶蘇もあんな世に生れれば罪人さ。好男子寒月君もそんな所でヴァイオリンを買えば罪人さ」

「それじゃ負けて罪人としておきましょう。罪人はいいですが十時にならないのには弱りました」

「もう一返、町の名を勘定するさ。それで足りなければまた秋の日をかんかんさせるさ。それでもおっつかなければまた甘干しの渋柿を三ダースも食うさ。いつまでも聞くから十時になるまでやりたまえ」

寒月先生はにやにやと笑った。

「そう先を越されては降参するよりほかはありません。それじゃ一足飛びに十時にしてしまいましょう。