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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

七

吾輩も彼等の変化なき雑談を終日聞かねばならぬ義務もないから、失敬して庭へ蟷螂を探しに出た。梧桐の緑を綴る間から西に傾く日が斑らに洩れて、幹にはつくつく法師が懸命にないている。晩はことによると一雨かかるかも知れない。

七

吾輩は近頃運動を始めた。猫の癖に運動なんて利いた風だと一概に冷罵し去る手合にちょっと申し聞けるが、そう云う人間だってつい近年までは運動の何者たるを解せずに、食って寝るのを天職のように心得ていたではないか。無事是貴人とか称えて、懐手をして座布団から腐れかかった尻を離さざるをもって旦那の名誉と脂下って暮したのは覚えているはずだ。運動をしろの、牛乳を飲めの冷水を浴びろの、海の中へ飛び込めの、夏になったら山の中へ籠って当分霞を食えのとくだらぬ注文を連発するようになったのは、西洋から神国へ伝染しした輓近の病気で、やはりペスト、肺病、神経衰弱の一族と心得ていいくらいだ。もっとも吾輩は去年生れたばかりで、当年とって一歳だから人間がこんな病気に罹り出した当時の有様は記憶に存しておらん、のみならずその砌りは浮世の風中にふわついておらなかったに相違ないが、猫の一年は人間の十年に懸け合うと云ってもよろしい。