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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

「煙草は二週間中爺さんの御馳走になったんですか」

「まあそんなところだね」

「もうヴァイオリンは片ついたかい」と主人はようやく本を伏せて、起き上りながらついに降参を申し込んだ。

「まだです。これからが面白いところです、ちょうどいい時ですから聞いて下さい。ついでにあの碁盤の上で昼寝をしている先生――何とか云いましたね、え、独仙先生、――独仙先生にも聞いていただきたいな。どうですあんなに寝ちゃ、からだに毒ですぜ。もう起してもいいでしょう」

「おい、独仙君、起きた起きた。面白い話がある。起きるんだよ。そう寝ちゃ毒だとさ。奥さんが心配だとさ」

「え」と云いながら顔を上げた独仙君の山羊髯を伝わって垂涎が一筋長々と流れて、蝸牛の這った迹のように歴然と光っている。

「ああ、眠かった。山上の白雲わが懶きに似たりか。ああ、いい心持ちに寝たよ」

「寝たのはみんなが認めているのだがね。ちっと起きちゃどうだい」

「もう、起きてもいいね。何か面白い話があるかい」

「これからいよいよヴァイオリンを――どうするんだったかな、苦沙弥君」

「どうするのかな、とんと見当がつかない」

「これからいよいよ弾くところです」