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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

と独仙君しきりに独り悟ったような事を云う。

「そう威張るもんじゃないよ。君などはことによると電光影裏にさか倒れをやるかも知れないぜ」

「とにかくこの勢で文明が進んで行った日にや僕は生きてるのはいやだ」と主人がいい出した。

「遠慮はいらないから死ぬさ」と迷亭が言下に道破する。

「死ぬのはなおいやだ」と主人がわからん強情を張る。

「生れる時には誰も熟考して生れるものは有りませんが、死ぬ時には誰も苦にすると見えますね」と寒月君がよそよそしい格言をのべる。

「金を借りるときには何の気なしに借りるが、返す時にはみんな心配するのと同じ事さ」とこんな時にすぐ返事の出来るのは迷亭君である。

「借りた金を返す事を考えないものは幸福であるごとく、死ぬ事を苦にせんものは幸福さ」と独仙君は超然として出世間的である。

「君のように云うとつまり図太いのが悟ったのだね」

「そうさ、禅語に鉄牛面の鉄牛心、牛鉄面の牛鉄心と云うのがある」

「そうして君はその標本と云う訳かね」

「そうでもない。しかし死ぬのを苦にするようになったのは神経衰弱と云う病気が発明されてから以後の事だよ」

「なるほど君などはどこから見ても神経衰弱以前の民だよ」