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てつがくのげんだいてきいぎ
哲学の現代的意義
戸坂 潤
「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页
意見や見識がそれだ。常識はそういう意味に於て、本来良知・良識・のことでなければならず、人間的な教養のことでもなくてはならぬ。決してただの平均的な素人学問のことや何かではない。
だがこの点については、私は機会あるごとに意見を述べた。今云いたいことは、こういう常識こそ、社会的人間生活の不可避不可欠の心理の動きとしての常識こそ、所謂思想なるものの日常的な形態なのであって、それの科学的処理としての哲学こそ、最も日常的に社会に活用されている哲学だということだ。思想の科学としての哲学が、如何に社会生活に於ける生きた科学であるかを、之で以てまず知ることが出来よう。政治的・社会的・文化的・見解のある処、そこに思想の科学の活動分野が横たわる。一個の常識と雖も、思想の科学は忽せには出来ないのだ。思想の科学は常識の組織者である。
常識と直接に関係あるものは、道徳である。ここで道徳というのは、前にも一寸触れたように、善と悪とを区別することを唯一の仕事とする、あの倫理学や何かと必ずしも関係があるのではない。道徳律や徳目のことではない。人間の自覚生活に於ける心理としての良心と云ったものの方が、まだ之に近い。