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てつがくのげんだいてきいぎ
哲学の現代的意義
戸坂 潤
「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页
クリティシズムと科学的精神
ただもしそこに差があるならば、漱石のインテリは階級的役割などを全く知っていないに反して、トゥルゲーネフのインテリ主人公は、いずれも階級的自覚者だということだ。するとつまり、国民文学として優れたタイプというのは階級的タイプとして優れたタイプのことだったということになるようだ。同じく国民文学の恐らくより以上の巨人であるドストエフスキーは、『悪霊』の内でタイプの一人スチェパン氏に云わせている、「わたしはどうもトゥルゲーネフが腑に落ちない。彼の書いたバザーロフは、何だかまるで実際にいない架空の人物みたいだ。今の若い連中も当時自分の口から、ぜんぜん成ってないもののように云ってその価値を否定して了ったくらいだ。」で、トゥルゲーネフが国民的に見えたのは、どうしても彼が階級的であったからとしか云うことが出来ぬ(だがそんなことは思想の科学の課題から云って、ごくつまらないことだ)。
クリティシズムと科学的精神
思想の科学であるものは、現実の諸思想の生きた法則を探求すると云っていいだろう。単に法則をではなく、また単に思想の形式的な定式をではない、現下の現実としての思想の現に生きている法則を、である。