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てつがくのげんだいてきいぎ
哲学の現代的意義
戸坂 潤
「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页
処が日本のブルジョア社会的哲学は、之まで著しく玩具の性質を持っていた。ブルジョア文化の根柢へ潜入するのには極めて無力であったのを特色とする。そういう哲学が、社会的信憑を要求出来ないのは当然であって、一向社会的な実在性を有っていなかったのも尤もだ。哲学の信憑度が従来真剣な問題にならなかったのも無理ではない。
つまりこういう事情の下に於ては、思想というものは、実際をいうとどうでもいいようなものなのである。日本に於て思想というものが社会的な意義を獲得し、社会的な現実勢力をなすものだということが発見されたのは、所謂思想問題の発生以後であり、第一次世界大戦末期の頃からであろう。それまでは思想は社会生活と無縁な過剰物であったようだ。思想問題発生以後に於ても、一般に思想の所有ということについての社会人の関心は、まだまだなのだ。つまり思想など何であろうと、そんなこととは関係なしに、立派に生活はやって行ける、というのが、日本の知能ある紳士たちの現実常識なのである。この常識は勿論いつまでもそこに停滞していることは出来ない。思想的動揺はごく最近の知能分子によっての恐怖となりつつある。