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よんじゅうはちにんめ
四十八人目
森田 草平
「改造」1929(昭和4)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,183 字 · 112 页
「ふむふむ!」
「つい今の先のことだ、ぶらりとはいって行くと、これはいいところへ来てくれた、また一筆頼むと言うじゃないか。なに、この坊主がお茶はできるかしらんが、無類の悪筆でね。これまでも二三度頼まれたことがあるから、おやすい御用と引請けて、さて宛名はと聞いてみると、小林だ。しめた! とは思ったが、色にも出さず、相手の言うままに認めた上、自分もあちらの方面に所用があるから、何なら私が届けて進ぜましょう、御返事があるようならまた房路にと、うまく言って使者まで請合ってきた。それはいいが、何しろ俺はこの前あの邸へはいりこんで、うろうろしているところを掴みだされた覚えがあるから、二度とあそこへは行かれない。と言って、長左衛門どのでは顔が売れているから、どうも目に立つし、気はせきながらも、貴公の帰りを待っていたのだ」
「そうか」と、小平太はぐっと固唾を呑み下しながら言った。「よし、それでは俺が引請けた」
「うむ、しっかり遣ってくれ」
「心得た。で、念のために聞いておくが、この手紙の用件は?」
「いや、それは何でもない。かねて小林から頼まれていた品が見つかった。いずれ近日持主同道で持参するからよろしくというだけだ。