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こくさいさつじんだんのほうかい
国際殺人団の崩壊
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,767 字 · 31 页
やがて扉に手が触れたので、両手を上下左右に伸ばしながら把手の在所を探しもとめた。把手はあった。彼氏はその把手を握ってギュッと廻すと、外へ押したが、どうしたわけか扉は開かない。そんなわけはないと思って更に一生懸命押してみたが、今度はなんだか腕が痺れてくるようで力が入らなかった。そのうちに頭が割れるように痛み出し、胸がひきしぼられるように苦しくなってきた。
「やややられたッ。扉が、あああかない」と叫びながら、扉を滅多うちに叩きつけた。暗黒の室内のあちらこちらでは、獣のような絶望的な叫び声が起り、うんうんと呻吟する声がだんだん高くなって行った。室外では、今、松ヶ谷学士が扉に身体をうちつけている。刑事や警官が扉の前に走せ集って来た。扉はドーンと開く。松ヶ谷学士は先頭になって飛び込んだ。
「灯を、灯を」
と叫ぶ警官がある。今入ったばかりの松ヶ谷学士がよろよろと入口へよろめき出て来ると、パタリと其儘斃れた。惨劇の室の前に集った人の中から、マスクをかけた長身の男が飛び出して、
「毒瓦斯だ! 入ってはいけない」と叫んだ。彼は腰をかがめると、入口に斃れている松ヶ谷学士を肩に担ぐと、ドンドン階段の方へ駈け出して行った。