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ちじょう
地上
島田 清次郎
地に潜むもの
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页
を頼んだのであった。
「今夜でもいってやろう」と容太郎が言った。お光はそれを傍に居って聞いていた。夕方彼女は父について家を出た。村のはずれの小さい小屋のような家の前で父は「太一いるか」と言った。
「誰だ!」
「わしだ。なぜ灯をとぼさんのだ」
「油がないからだ!」そう言って戸をあけて出て来た、瘠せた、眼はある種の権威に輝いている薄汚い少年を、お光は忘られない人の一人として一生思い出した。
「北野の旦那様ですかい。何の用があって来たのだ。俺は親爺の残して行ったほんの少しの零れ米で食っているのだ。働こうと働くまいとお前さんの知ったことであるまい。帰ってくれ! さっさと帰ってくれ!」
「何を言う※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「大盗賊! 俺の親爺を乾鰮のように干乾しにして殺した大盗人! この俺までを干乾しにしようとするのかい! くそッ、その手にのるもんかい! 大盗人」そう言って彼はさも忍耐できないという風に大きくしゃくりあげてすすり泣いた。容太郎は暫くぼんやり立っていたが、おぼろげに彼が何を言おうとしているかが分って来た。もう許して置けなかった。身内に何代もの祖先の血が逆行した。