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ちていせんしゃのかいじん

地底戦車の怪人

海野 十三

「ラヂオ子供の時間」(「地底戦車兵の冒険」のタイトルで。)1940(昭和15)年2月~

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,000 字 · 111 页

青空文庫

お前のおかげで、こうして、氷の上にも出られるし今も、たらふくビフテキを御馳走になったりして、まるで夢をみているような気がするのだ、これは、一杯のコーヒーだけれど、やっとごま化して、持ってきたのだよ。さあ、のんでくれ」

「や、ありがとう」

「ピート一等兵、待て。衛兵たるおれが、承知できないぞ。そういうことは、禁じられている」

衛兵が、苦情をいった。軍規上、それにちがいないのである。

「お前にゃ、わからんといっているのだ。お前、気をきかせて、ちょっと、向うをむいていろ。コーヒーをのむ間、その辺を散歩してこい」

そのへんを散歩してこいといっても、せまい氷の廊下が、ほんのちょっぴりついているだけである。散歩なんかできない。

「おい、衛兵。わしの腕の太いところをよく見てくれ」

ピート一等兵は、肘をはり、衛兵にのしかかるように、もたれかかった。

「ピート、分っているよ。いいから、おれが向うをむいている間に、早いところ、囚人にコーヒーをのませろ」

そういって、衛兵は、向うをむいた。

「ほう、やっと、気をきかせやがった。はじめから、そうすれば、世話はなかったんだ。ほら、黄いろい幽霊、コーヒーだぞ」