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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

「おお、オルガ姫が、入口の扉を開けているな」

そう思っているうちに、果して鉄扉が開いた。内には、明るい電灯の光が見える。

「ほう、とうとう、クロクロ島へ戻ってこられたわけだ。どれ、中はどんなことになっているか」

私は、久慈たちのことを思い出した。久慈たちにクロクロ島をあずけておいたが、その後、彼からの通信は来ず、そのうえ、クロクロ島は、洋上を漂流しているなどと、非常に憂慮すべき事態の下にあったのである。私は、島内において、どんな光景が見られるかと胸を躍らせながら、階段を下っていった。

「おお!」

私は、階段の途中で、思わず呻いて、そこに立ち竦んだ。

見よ。島内には、久慈たちの姿はなく、その代りに、X大使が、厳然と立って、こっちを見ているではないか。

「おお、黒馬博士、待っていたぞ」

X大使の声は、いつもとはちがって、やや上ずっている。私は、もう観念した。そして階段を下りきると、X大使の前へ、つかつかと歩みよった。

「X大使。まだ私に、用があるのかね」

「おお、用事というのは、外でもない、わしは、これから自分の国へ帰ろうと思うのだ。君には世話になったから、一言挨拶をしていきたかったのだ」