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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

怪放送――お化け地球事件とは?

西暦一九七〇年の夏――

折から私は、助手のオルガ姫をつれて、絶海の孤島クロクロ島にいた。

クロクロ島――というのは、いくら地図をさがしても、決して見つからないであろう。

クロクロ島の名を知っている者は、この広い世界中に、まず五人といないであろう。クロクロ島は、その当時、西経三十三度、南緯三十一度のところに、静かに横たわっていた。

そこは、地図のうえでみて、ざっと、南米ブラジルの首都リオを、南東へ一千三百キロほどいったところだった。

「その当時……横たわっていた」といういい方は、どうもへんないい方だ、と読者は思われるであろうが、決してへんないい方ではない。そのわけは、いずれだんだんと、おわかりになることであろう。

さて私は今、そのクロクロ島のことについて、自慢らしく読者に吹聴しようというのではない。私が今、ぜひとも、ここに記しておかなければならないと思うのは、或る夜、島のアンテナに感じた奇怪きわまる放送についてである。

その夜、私は例によって、只ひとり食事をすませると、古めかしい籐椅子を、崖のうえにうつした。

海原を越えてくる涼風は、熱っぽい膚のうえを吹いて、寒いほどであった。