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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

すると、姫は、いきなりぴょこんと立ち上ると、すぐさま、警鈴の鳴る配電盤の前へ走りよったのであった。――私の助手オルガ姫は、もう読者のお察しのとおり、これは本当の人間ではなくて、実は機械で組立てた人造人間であったのである。

人造人間は、助手として、はなはだ好適であった。

命令は、絶対にまちがいなくまもるし、食事をするわけではなく、人間らしいものぐさもなし、そして部分品をとりかえさえすれば、いくらでも使える。

殊にオルガ姫の端麗さは、ちょっと人間界にも見あたらぬほどだ。私は有名なるミラノの美術館を一週間見て廻って、ようやくオルガ姫の原型を拾い出したのであった。それを私の理想とする婦人像であったのだ。

オルガ姫を見ていると、私は母の懐に抱かれているような安心を覚える。

そのオルガ姫は、配電盤のところに立って、しきりに録音された鋼鉄のワイヤを調べていたが、私の方に向き直り、

「警報信号が、しきりに入っているのですけれど、発信者の名前もなく、それに、本文もないのですが」

オルガ姫は、報告だけをすると、また配電盤の方へ向いて忙しそうに手をうごかした。

「発信者の名前もなく、また本文もない……」