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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

皆は、子供のようにうれしそうな顔をして、小さい盃にくみわけられた灘の酒をおしいただいた。

「ばんざーい、クロクロ島!」

私はいった。

「ばんざい、黒馬博士のために……」

と、久慈が、音頭をとった。

「ありがとう」

と私はいって、

「――だが、この盃をもって、皆さんに対し、お別れの盃を兼ねさせていただきたい」

「なんだって」

久慈が、おどろいて、私の顔をみた。

私はここで、皆に、説明をしなければならなかった。

「実は、さっき、本国から、至急戻ってくるようにと、命令があったのだ。だから私は、お別れして、いそぎ東京へ戻らなければならない」

「ほんとうかね。われわれをからかっているのではないかね。クロクロ島の主人公が、ここを離れるなんて」

「いや、クロクロ島は、依然としてここにおいておく。久慈君に、後を頼んでおく。もちろん本国から君あてに、辞令が無電で届くことだろうが……」

「ほんとうかね。黒馬博士が、クロクロ島を離れるなんて、そいつはちょっと困ったなあ」

「困るって、なにが……」

「僕には、このクロクロ島が、つかいこなせないと思うのだ。なにしろ、このとおり、複雑な働きをする大潜水艦だからなあ」