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ちきゅうようさい
地球要塞
海野 十三
「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页
むかしの人が見たら、まさか、これが自動車だとは、気がつかないであろう。
「元帥閣下は、そんなにお待ちかねの様子でしたか」
「はい、それはもう、たいへんお待ちかねで、潜水洞四十三番へ、たびたび電話をおかけになるというようなわけで……」
「元帥閣下は、なにか、怒っていられる様子は、なかったですか」
「いいえ、たいへん上機嫌でいらっしゃいました。どうやら、あなたさまは、御栄転になるとの噂が専らでございますわ。黒馬博士、このたび、あなたさまは、どっちの方面から、お帰りになったのでございますの」
「今度はね、私は……」
と、いいかけて、私はとつぜん、ごほんごほんと咳こんだ。こいつは油断がならない。マリ子という女は、へんなことを尋ねる。ことによると、第五列かもしれない。
「ああ、苦しい。海上があまり涼しかったもので、すっかり咽喉をこわしてしまいましてねえ。おい、オルガ姫咳止めの丸薬をくれないか、三粒あればいいよ」
オルガ姫は、私の前にいたが、鞄の中から、丸薬入りの缶を出して、私の掌に、三つの黒い丸薬をのせた。
「水、水を早くくれ」
オルガ姫は、水筒の水を、大きなコップに三分の一ほどついだ。