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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

どうだ、承知しないか」

突然、X大使の言葉は、妥協的になった。

だが、私は油断しなかった。

「身勝手なことを、いってはいかん。私をこんな目にあわせて置きながら、友好的協力もなにも、あったものじゃない」

私は、すかさず抗議をしてやった。

「まあ、そういうな。今、君が遭っている異変は、魔術でもなんでもない。わしは君に、わしの偉力を、ちょっぴり見せたかったのだ。――だが、今君は、わしに対して感情を害しているようだ。わしは、これ以上無理に君を圧迫しまい。私は自ら一時退却する。しかし、この際、君に一言のこして置くから、忘れないでいてもらいたい」

と、X大使は、改まった調子で、

「今後、君たち大東亜共栄圏の民族は、更に大きな危険に曝されることになるだろう。そのとき、救援が欲しかったら、わしに求めるがいい。わしは、ちょっとした交換条件をもって、君たちを全面的に援助するだろう。どうか、それを忘れないで……」

そういったかと思うと、X大使の姿は、俄かに、アーク灯のごとく輝きだした。いや、大使の姿だけではない。私の身のまわりの暗黒世界が、一時に眩しく輝きだした。私はあっと叫んでその場にひれ伏した。