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ちきゅうようさい
地球要塞
海野 十三
「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页
じゃあ、わが艇は、これからどんどん沈んで、海底にもぐりこむだけだね。どうかならないか、X大使」
「エンジンをなおすのは、わしには出来ない。すこし複雑すぎるからね」
「でも、折角助けてもらったのに、このままでは、海底で寒さと飢えのため、死ぬばかりだ。どうかして、手を貸して呉れたまえ」
「わしに出来ることは、君の艇を、三角暗礁の埠頭につけることだ」
「そうして貰えば、こんな幸いなことはない。あとは、向うの工作機械をつかってなおすから……」
といったが、私は、X大使が三角暗礁を知っているのに、ひそかに舌を捲いた。
「そんなことなら、訳なしだ。ほら、その出入口の扉を開いて見たまえ」
「えっ、何だって」
「何だっても、ないよ。もう、ちゃんと、三角暗礁の埠頭に横づけになっているよ。嘘だと思ったら、外を見るがいい」
「それは嘘だ。たった今、敵艦の鎖をふり切ったばかりなのに……」
と、私はいったが、念のためと思い、外を覗いて見て、おどろいた。正しく艇は、三角暗礁の洞穴に入っている。そして、ちゃんと例の埠頭へ横づけになっているのであった。
「これは、不思議だ」
まるで、夢のような話であった。