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キリストしんとのなぐさめ
基督信徒のなぐさめ
内村 鑑三
明治二十四年四月十九日いわゆる……「基督信徒のなぐさめ」警醒社書店、1924(大正13)年2月25日改版<br>“If I can put……「基督信徒のなぐさめ」警醒社、1896(明治29)年12月1日<br>自序「基督信徒の慰」警醒社、1893(明治26)年2月25日<br>第二版に附する自序「基督信徒のなぐさめ」警醒社、1893(明治26)年8月14日<br>回顧三十年「基督信徒のなぐさめ」警醒社、1923(大正12)年2月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,320 字 · 100 页
なり、爾の天職は世のいわゆる慈善事業にあらざるなり」と。
慈善家たるの念を断ち、彼一日聖殿の頂上に登り、眼下に万人の群集するを見し時、悪霊再び彼に耳語していわく「爾は爾の思想をこれらの民に伝えんと欲す、しかれども爾はナザレの一平民にして誰も爾の才力と真価直とを知るものなし、ゆえに爾先ず己が身を下に投よさらば衆人爾の技倆に驚き爾に注目するに至らん、民の名望一たび爾の有に帰せば彼らを感化する掌を反すより易し」と、しかれども天よりの声はいわく「真理は虚喝手段を以て伝え得べきものにあらず、民の名望に頼て彼らを教化せんとす是れ神を試み己を欺くなり、法便は救世術としては価値なきものなり」と。
基督は慈善家たらざるべし、彼は法便を使用し民の耳目を驚かして世を救わざるべし、しかれども彼一日高き山に登り、眼下に都府村落の散布せるを見、国土を神の楽園と為し得べきを思いしや、彼の胸中に浮びし救世の大方策は彼大政治家となりて社会改良を遂んとするにありき、彼思えらく、我に世界を統御するの才能あり、我一挙して羅馬人を放逐し、神の特種の撰択にかかる猶太人民を率い世界を化して一大共和国となし、仁を施し民を撫育し、真正の地上の王国を建立せんと、しかるに彼の良心はこの高尚なる希望をも彼に許さず、社会改良事業は正義堂々主義一歩を譲らざる