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しおをのせたふね

塩を載せた船

小川 未明

「童話」1923(大正12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,881 字 · 12 页

青空文庫

いまごろはどんなにやさしい人たちになっているかしれない。きっと、手がなくて弱っているものもあろう。自分のようなものにも、される仕事がないとはかぎらない。どれ、ひとつ、その変わった町へもどってみようか。」と思いました。

そして、彼は、いつも、自分の胸に思ったことは、はたしていいかどうであるかたずねてみるように、太陽を仰いだのであります。

太陽は、あいかわらず、にこにことしていました。

「おまえが、そう思うならいってみるがいい。」といっているようでありました。

乞食は、赤ん坊をおぶって、いつかたった町へもどってゆきました。海辺には、白い、海鳥が空を舞っていました。日の光は、彼のゆく道を暖かに照らしていました。

まだ、日がまったく沈みきらないうちに、乞食は、その町のあったところに着きました。きてみると、びっくりしました。一軒として満足な家が建っていないばかりか、たいていは、波にさらわれてしまったとみえて、一面荒れ果てた野原に変わっていたのです。

人たちは、どうなったものか、影さえ見えませんでした。ただ、ところどころに木立がそびえていて、その枝に、髪の毛のからんだようにいろいろなものが引っかかっている、ものすごい、みすぼらしい有り様が見られるばかりでした。