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しおをのせたふね
塩を載せた船
小川 未明
「童話」1923(大正12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,881 字 · 12 页
おそらく永久に帰ってくることがあるまい。また、その人たちを捜したとて、永久に捜しあてることができまい。あの宝は、みんな腐ってしまうか、地の中にしぜんにうずもれてしまうのだ。おまえはあの宝で、もう一度、りっぱな町をこのところに建てる考えはないか。そうすれば、私は今夜、宝の残っているところを教えてやろう……。」
青ざめた月は、太陽のように、けっして、にこやかな顔はしていなかったけれど、まじめになって、乞食にいいました。
「私みたいなものに、そんなことができようか?」と、乞食はうなだれて思案をしました。
「なに、いっしょうけんめいになってやれば、できないということはないはずだ。おまえにできなかったときは、おまえの子供の時代にできるにちがいない。おまえは赤ん坊をおぶっているではないか。」と、月は、はっきりとさえた声でいいました。
乞食は、ついにやってみる気をおこしました。
「どうか、お月さま、私に宝の落ちているところを教えてください。」と、月を見上げて願いました。
月の光線は、身軽にどんな狭いところへもくぐり込みました。またどんなものの上へもはいまわりました。