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はか

墓

宮本 百合子

「サンデー毎日」1926(大正15)年7月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,972 字 · 10 页

青空文庫

「きまったの? こうするって」

「誰にも異存がなけりゃこれになる訳さ。――お前、どっかこうしたいと思うところがあるの?」

小一郎はなぜかむっつりして、人さし指で唇を弾いていたが、やがて、

「まあいいや」

と、あきらめたように立ちかけた。

「何だよ――いって御覧よ」

「いい。母さんがいいと思えばいいさ」

小一郎には、母の戒名が並んでいるのが何だか変に感じられた。まだ生きている人でもあるし、子供時分からの印象によって、書斎にばかりいた父、茶の間にばかりいた母、あんなにも内容の違う生活を営んでいた二人が、戒名を並べて納まるということが一種不自然なように感じられたのであった。しかし、彼は、そのように感情上微妙な問題をどういい現わしてよいか判らず、沈黙した。

一周忌の法要のとき、祐之助がたんのうした立派さで原案通りの墓が出来上った。彼は世話をやいて写真師を呼んだ。墓前に並んだ遺族一同のと、別に墓だけのを撮影させた。故人の人となりを熟知している知友はどういうものかその墓の前に立つと、故人の気品と皮肉の相半ばした生彩ある眼差しを思い浮べずにおられなかった。それは、重苦しい自分の墓を横の方から眺めながら、