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はか

墓

宮本 百合子

「サンデー毎日」1926(大正15)年7月1日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,972 字 · 10 页

青空文庫

これで、ただの墓じゃあない、立派なモニュメントになるのさ」

羊皮紙になぞらえたところに、故人の戒名と並べて幾枝の戒名も書いてあった。

「どうです? 文学者らしく堂々としていていいでしょう」

幾枝は、不決断に、

「そうね」

と答えた。

「よかりそうに思うけど――まあ一遍織田さん達にも見せなけりゃ――あの人達が何ていうか――」

彼女は、悲しいような、詰らないような笑いを浮かべた。

「私の戒名なんか並べると、荻村にいやな顔をされそうだわ、何だか――」

「馬鹿いっちゃいけない!」

祐之助は急に憤ったように遮った。

「れっきとした荻村慶三郎の細君でありながら、なぜ戒名を並べていけないんです? 第一、何だ、姉さんは何ぞというと門下の人達を気がねしてるが、それが間違いさ。権限を心得させて置かないと、いまに途方もない奴が出るから――」

夕方、小一郎が帰って来て、その設計図を見た。

「どう思うえ? 小一ちゃん」

「親父らしくないや、ちっとも」

尚子が、我意を得たというように、

「お兄さんもそう思う?」

といった。

「尚子もそう思ったんだけれど、――何ていっていいかわからなかった」

やや暫らく黙って眺めていたが、小一郎は母に尋ねた。