轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页

青空文庫

「阿呆ぬかせ」

と、言って、ふと声をひそめて、

「――ひょっとしたら刑事に追われたンかも判れへんぞ」

「へえ? ほな、掴まって、カンゴク行きやナ」

「掴まるかどないか、まだ判るけえ!」

「うまいこと逃げてくれたら、ええのになア」

「うん」

「しかし、兄ちゃん、掏摸テぼろい商売やけど、怖いなア。カンゴクへ行かんならん。兄ちゃん、それでも掏摸になるか」

「…………」

次郎はだまって、考えこんでいたが、やがてひょいと足許を見た途端、唇まで真青になった。

「三郎公、えらいこっちゃ、銭がない」

「えっ……? ほんまか」

と、三郎は金入の空罐を覗きこんだ。

空っぽだ。

「盗まれたッ!」

次郎はきっと唇を噛んで、起ち上った。そして口惜しそうに前方を睨みつけながら、

「――畜生! どいつが盗みやがったんやろ。ひどいことをしやがる」

「兄ちゃん、交番へ届けたら、あかんやろか」

三郎は半泣きの声になっていた。

「阿呆! 交番へ届けても戻るもんか。強盗もよう掴まえんのに……」

「どないしたら、ええやろ」

「…………」

もう次郎は答えなかった。

「一銭も持たんと、帰るンか」

「…………」

「いややなア。こんなことなら、ハナヤで美味いもン食べた方がよかったなア、盗まれるより、その方がなんぼええか判れへん」