轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
「大阪日日新聞」1947(昭和22)年5月24日~8月9日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,871 字 · 134 页
「とにかく行ってみよう」
二人は、恋人のように肩を並べて阿倍野橋の方へ歩きだした。
玉造線の電車通へ出て、寺田町の方へ二人はとぼとぼ歩いて行った。
寺田町を西へ折れて、天王寺西門前を南へ行くと、阿倍野橋だ。
途中、すれ違う電車は一台もなかった。よしんばあっても、娘のそんな服装では乗れなかった。焼跡の寂しい道で、人通りは殆どなかったが、かえってもっけの幸いだった。
娘ははだしで歩きにくかったので、急いだつもりだが、阿倍野橋まで一時間も掛った。
阿倍野の闇市のバラックに、一、二軒おそくまで灯りをつけている店があった。
立ち寄って、暖いものでも食べたかったが、やはり裸の上にレインコートだけ、おまけにはだしだという娘の服装が憚られた。
しかし、灯りの見えたことは嬉しかった。この辺は停電ではなかったらしい。
大鉄百貨店の前のコンクリートの広い坂道を、地下鉄の動物園前の方へ降りて行くと、ホテルや旅館がぼつりぼつりあった。
一軒ずつ当ってみたが、みな断られた。
「だめだね」
もう地下鉄の中ででも夜を明かすより方法がない、と娘の方へ半泣きの顔を向けると、
「もう一軒当ってみましょう。