轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
01 第一部上
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页
驚くべきことには、その篩が天に登って、異国へ飛んで往ったともいう。これを見たものはびっくりして、これは必ず切支丹に相違ないと言って、皆大いに恐懼を抱いたとの話もある。
異国に対する無知が、およそいかなる程度のものであったかは、黒船から流れ着いた空壜の話にも残っている。アメリカのペリイが来航当時のこと、多くの船員を乗せた軍艦からは空壜を海の中へ投げすてた。その投げすてられたものが風のない時は、底の方が重く口ばかり海面に出ていて、水がその中にはいるから、浪のまにまに自然と海岸に漂着する。それを拾って黙って家に持ちかえるものは罰せられた。だから、こういうものが流れ着いたと言って、一々届け出なければならない。その時の役人の言葉に、これは先方で毒を入れて置くものに相違ない、もしこの中に毒がはいっていたら大変だ、さもなければこんなものを流す道理もない、きっと毒が盛ってあって日本人を苦しめようという軍略であろう、ついては一か所捨て置く場所を設ける、心得違いのものがあって万一届け出ない場合があったら直ちに召し捕るとのきびしい触れを出したものだ。そこであっちの村から五本、こっちの村から三本、と続々届け出るものがある。