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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

四

」

そう半蔵は考えて、庄屋としての父の名代を勤めるために、福島の役所をさして出かけて行くことにした。

家を離れてから、彼はそこにいない人たちに呼びかけるように、ひとり言って見た。

「同志打ちはよせ。今は、そんな時世じゃないぞ。」

四

十三日の後には、福島へ呼び出されたものも用済みになり、湯舟沢峠両村の百姓の間には和解が成り立った。

八沢の牢舍を出たもの、証人として福島の城下に滞在したもの、いずれも思い思いに帰村を急ぎつつあった。十四日目には、半蔵は隣家の伊之助と連れだって、峠の組頭平助とも一緒に、暑い木曾路を西に帰って来る人であった。

福島から須原泊まりで、山論和解の報告をもたらしながら、半蔵が自分の家の入り口まで引き返して来た時は、ちょうど門内の庭掃除に余念もない父を見た。

「半蔵が帰りましたよ。」

おまんはだれよりも先に半蔵を見つけて、店座敷の前の牡丹の下あたりを掃いている吉左衛門にそれを告げた。

「お父さん、行ってまいりました。」

半蔵は表庭の梨の木の幹に笠を立てかけて置いて、汗をふいた。その時、簡単に、両村のものの和解をさせて来たあらましを父に告げた。