轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

一庄屋の子としての半蔵から見ると、これは理由のないことでもない。水戸の『大日本史』に、尾張の『類聚日本紀』に、あるいは頼氏の『日本外史』に、大義名分を正そうとした人たちのまいた種が深くもこの国の人々の心にきざして来たのだ。南朝の回想、芳野の懐古、楠氏の崇拝――いずれも人の心の向かうところを語っていないものはなかった。そういう中にあって、本居宣長のような先覚者をはじめ、平田一門の国学者が中世の否定から出発して、だんだん帝を求め奉るようになって行ったのは、臣子の情として強い綜合の結果であったが……

年も文久二年と改まるころには、半蔵はすでに新築のできた本陣の家の方に引き移っていた。吉左衛門やおまんは味噌納屋の二階から、お民はわびしい土蔵の仮住居から、いずれも新しい木の香のする建物の方に移って来た。馬籠の火災後しばらく落合の家の方に帰っていた半蔵が弟子の勝重なぞも、またやって来る。新築の家は、本陣らしい門構えから、部屋部屋の間取りまで、火災以前の建て方によったもので、会所を家の一部に取り込んだところまで似ている。表庭のすみに焼け残った一株の老松もとうとう枯れてしまったが、その跡に向いて建てられた店座敷が東南の日を受けるところまで似ている。