轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

岩礁には真夏の強い日光が反射する。紫褐色の地にめった無性に打たれた赤い斑点がちかちかと光ったり唸ったりしている。青木はこれをつつき廻していたので、蜂の巣蜂の巣といっていたが、その岩礁は蜂の巣というよりもむしろ怪獣のような巨大な生物に見える。狂乱に近い画家の精神が一種の自爆性を帯びて激しく発散する。いかなる怒濤にも滅されまいとする情意の熱がそこに眩いばかりの耀きを放って、この海景の気分をまとめようとあせる。それほどまでにもこの岩礁は誰の目にも異様に映ずるのである。

全画面はかくして、左から右へ、うしろから前へ、絶間なく揺すりどよめいて、動乱の極に達している。それがメヅウサの頭にもつれ絡まる蛇をおもわせる。

これが青木繁の若い時に描いた海景である。額縁の横幅約二尺八寸、縦幅一尺八寸はあろうと思われる。

鶴見は海と共に際涯もない感情を抱いてその画を丹念に見返し見返ししている。波と岩との争闘の外に火と海との相剋がそこにある。揺すり動かし砕き去ろうとする狂瀾怒濤に抗して、不滅を叫ぶ興奮から岩礁はいやが上にも情熱の火を燃やす。遠空にかすむ火山の円錐がこの死闘を静かに見おろして煙を噴く。