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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
――黙子覚書――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页
面白いことがあったでしょう」などといって、友人の須藤の顔をのぞいて、ちょっとからかう、その賑やかさ。鶴見がひょっくり尋ねて行った時に、友人はたまたまこの薬局に出て来て、若い人々にたちまじって話しあっていたのである。
鶴見は須藤の姿を見て、いきなりこういった。「きょうは学校を休んだね。病気か。」
「うん。ちょっとばかり体の工合がわるかったのだ。たいしたことはないよ。」
「そうか。そんなら好いが。」無愛想な受け答をしていた鶴見は、それから案内されるままに奥へ通った。
奥の八畳に病床が温かそうにしつらえてある。綿を厚く入れた蒲団にくるまって休養していられる身分である。どこといって格別悪いらしくもないが、どうしたものかたびたび寝るくせがついている。学校の方も欠席がちになる。須藤も好箇の若者であるが惜しいことには体が弱い。鶴見はそう思ってあたりを見まわした。
室内は適度に保温されて、床脇の違い棚の上に華奢な鶯の籠が載せてある。鶴見にはそれがこの室の表象ででもあるように目立って見えた。鶯は籠の中を時計の振子のようにあちこちと動いている。
「鶯は鳴きますか。」鶯は動いてはいたが鳴きはしなかった。