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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

僻目であろうかと恐れたが、それかといって、その疑を払拭する反証をも捉え得なかった。

鶴見は気張って、痩っぽちの裸体を風呂屋の洗い場で彼に見せてやった。

銭湯からの帰りしなに、泡鳴は満足げにぶらぶらと歩いていたが、遽かに気がついたと見えて、煙草を買いに、とある雑貨店に立寄った。その店先に、「琉球泡盛あり」と埒もなく書いた貼紙が出ている。コップ飲をさせるというのである。鶴見はそれが場所にふさわしくないので多少不安におもっている。

泡鳴はその貼紙に目をつけて、咄嗟にこういった。

「おい、君。一杯やってゆこう。」

「それも好かろう。」鶴見はそういって彼の要求に応ずるより外はなかった。そしておれはまた掬われたなと感じた。ちょうど手網にかかった雑魚のようにも思われたからである。

こういうような敏捷な行動で、泡鳴は人生の機微を捕える。工夫といって別段の方法があったようには考えられない。

湯上りの泡盛は確に旨かった。

木曾旅行の途次、贄川の宿で乗合馬車が暫くのあいだ停っていた時のことである。折から鉄道工事の最中なので、大勢集っていた工夫たちにまじって、名産の「ななわらい」