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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

囲炉裏の間ともとは台所であったらしい部屋とのあいだには大きな柱が立っていて、大黒柱と向い合いになっている。その柱をこの辺で、うし柱といっている。電燈はそのうし柱のすぐ側に掛けられる。丁度鶴見の席の背後になる。そんなわけで、そこに火の点く時が食事をはじめる合図になるのである。

この家の主人は、おかたが抱えて来て卓上に置いた大鉢に盛ったものを、二つずつ分けてわれわれの前にならべてある皿の上にも配って廻る。紡錘形のにこやかな物である。蒸し芋である。

主人は鶴見にこっそりいった。「きょうは一月遅れの七夕ですから、初穂として早出来の甘藷を掘って見ました。」

こういって、主人は自席へ戻って行った。

ほほえましい空気が一座の人々の心を和めずにはおかない。誰の顔を見ても微笑の影が漂っている。

鶴見ははからずもこの事に感興を得て、数日の後に一篇の古調を賦した。全くの異例である。病人に食慾が出てきたようなものだといえばそれまでであるが、鶴見はそれを今以て不思議がっている。

国足らす畑つ益芋(ますうも)、

をしげなく早めに掘りて、

初穂をば享けたまへと、

たなばたのまつりに供へ、