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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

探求と観相

静岡に住んでいた間は、それらの三者に殊に親しさを感じていた。

前の歌はそんなわけで、そんな折によんだのである。

濡縁に這い出した蜥蜴は日光を浴びて忽ちに現われ、また忽ちにして眼の前より隠れ去った。夢のような輪廻観に耽っていた折からでもあり、そこへあしらいに来たかと思われる蜥蜴を、鶴見はいよいよ親しいものにしている。そして朝目の好い徴として、この上もなく悦んでいる。

探求と観相

鶴見はぐったりしている。

あまり坐りつづけたので少し気を励ますために庭に出てみた。梅雨時を繁りはびこる雑草は今のうちにって置く方が好い。それがまた適当な仕事のように思われたからである。※(「てへん+劣」、第3水準1-84-77)るといっても大半は鎌を使わねばならない。庭はそれほど荒れているのだ。それで二日もやっていると、鎌を持つ右の手の薬指の附根に肉刺をこしらえてしまった。

鶴見は元来若い時には老父の手助けになって、庭の整理ならかれこれと何でもやって来たので、大抵の事には心得がある。伐りおろした樫の枝を鉈でこなして薪に束ねる。そういうこともよくしていた。

秋のすえである。打ち込む鉈の下から樫の枝が裂ける。