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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

それで時々思い附くことがある。

その思い附きを趁って空想を馳せることに、鶴見は特に興味を感ずる。新聞社に投じた文章もそうした思い附きの一つに過ぎなかった。勿論科学的研究というようなしっかりしたものでないから根拠が浅い。肩を衝かれ腰を打たれれば直ぐにも転ぶ。そんなことは厭ってはいられない。人がためらって口に出さぬことを、ただ思い附きなりに素直にいって置きたい。それが念願である。そしてそんな思い附きでも何かの機縁になって、他日良果を結ぶことでもあればなんぞと、当にもならぬ先の先を見越して空頼みしていることもあるのである。

現に外国文化の影響は今日の食制の上に痛切な影を投じている。米食と並んで粉食がやがて国俗となろうとしていることである。外来の物を受け入れるにはそれに相応する理由があるのではあるが、それにはまた思いも掛けぬ動機と機縁とがあることも忘れてはならない。

ここに石蒜の一例がある。鶴見はそれを面白い語り草としてよろこんでいる、伊沢蘭軒が石蒜を詩に入れているのを発見したといって、鴎外がひどく珍らしがっている、あの一条の話である。これは鴎外の大著蘭軒伝中に事をわけて備さに述べてある。