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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

頭の中がその爪でむやみにひっ掻き廻わされているような刺戟を感ずる。

鶴見は単に植物を観賞しようというのではない。かれの考はその伝来と実用性との関係を中心に置いている。思い附きであり、そうらしいと推し量るに過ぎないが、それでも構わぬとなれば、言うことはいくらでもある。思ったとおりに何でも言いたいのが鶴見の性分である。それを先ず言っておいて、疑わしいところは教を受けたいと思っているのである。

石蒜についてもまだかかわりがある。自分の意見は出し尽していない。心のなかのどこかに札を掛けておいたなりではいつまでも気にかかる。それを鍵から脱して見たいのである。

第一は石蒜が人里近く分布しているという事。そこにふと気が附いた。気が附いて、いろいろ思い合せると、どうもそうらしい。山にも生えていないし、曠野にも見当らない。

石蒜が群をなして繁っている場所は、田舎道の両側か、草土手か、墓地か、そんなところが数えられる。彼岸花、天蓋花、死人花、幽霊花、狐花などという、あまり好ましくない和名が民間に行われている故以であろう。その中で穏かなのは彼岸花というのだけである。それとても抹香臭い。