轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆめ
夢
寺田 寅彦
「明星 第一巻第五号」1922(大正11)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,358 字 · 5 页
ただ時々イエネラール何とかいう言葉を繰返すのがやっと聞きとれただけであった。
演説者は脊の低い男で、顔が写真で見たトロツキーによく似ていた。右の手を空気を切るように縦横に打ち振っては信じられないほど大きな声でどなっていた。時々左の手を家畜の方に差し延べては一種特別な訴えるような表情をして見せた。
演説が終ったと見えて、ワーッと云う声がした。そして再び隊を作った行列は真直ぐな大道をあちらの方へだんだんに遠ざかって行った。
銅色の太陽がもうよほど低く垂れ下がって、葉をふるった白樺の梢にぐるりぐるりと廻っているように見えた。その廻転が見ているうちにだんだんに速くなるように思われるのであった。
「もう少しこれが速くなるとあぶない」そう思って私は急いでベルリンの町の方へ帰って行った。
(大正十一年三月『明星』)