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だいこのは
大根の葉
壺井 栄
「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页
「ほんな健ちゃん、また来いな。」
「ん。」
「夜道じゃ、気いつけて帰になされよ。」
口々に別れの言葉をかわした。鳥の毛の帽子の太郎が、鳥の毛の帽子の健にしみじみした顔つきで、
「健ちゃんよ、また浜で遊ばんかなあ。」
「ん。」
健は大きくうなずいておいて、急に「失敬!」と直立不動の姿勢をとったので、また皆が笑った。外はもう薄ねずみに暮れていた。門を出ると、何かいい忘れたことがあるような気がしてお母さんは、いったんしめた戸に手をかけたまま、しばらく考えていたが、また思いなおしたように、何か口の中でつぶやきながら歩きだした。海沿いの道を、健はお母さんの手を引っぱって歩いた。
「お母さんの手々、ぬくいぬくいなあ。」
声はお母さんの腰の下から聞こえた。お母さんはだまって健の前にしゃがみ、背中を向けてうしろへ手をひろげた。健はとびついて行ってお母さんの首をかかえた。そして、へえ、へえ、と笑った。ほのかな灯の漏れてくる家々の尽きたあたりで、お母さんは背中の健に首をねじらせて顔を近づけた。
「健、克ちゃんがなあ、赤いべべ着せてやったら喜ぶんで。……べべを見てなあ。」
「ふーん。