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だいのうしゅじゅつ

大脳手術

海野 十三

「富士」1945(昭和20)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,185 字 · 31 页

青空文庫

「はっはっはっはっ」

私は声をたてて笑った。

「なぜ笑うのか」

「だって君はあまりに懐疑的だよ。和歌宮先生の如き貴人が、そう安っぽく人前に現われるものか。先生や迎春館に関する話がたくさん知られていることだけでも、その存在はりっぱに証明されるじゃないか。先生は、本当に人体売買の手術を希望する当人以外には会っている遑がないのだ。仕事も忙しいし、それに更に深い研究を続けておられるものだからねえ」

「じゃ、君は僕を和歌宮師のところへ連れていって会わせて呉れ」

「駄目だよ、君はそういう手術を希望していないんだから、やっぱり駄目だよ」

「とにかく僕は大きな疑惑を持っている。よろしい、そういうんなら他の方法によって、この疑惑を解いてみせる」

こんな話から、私は気拙くなって、鳴海の宅から立去った。そして私は、更に荒んだ生活の中に落込んでいった。

生活と刺激のために、私はいよいよ自分の体の部品を売飛ばさねばならなかった。頸から上だけは売るまいと思っていたが、今はそれさえ護り切れなくなり、眼球を売ったり、歯を全部売ったり、またよく聴える耳を売ったりして、遂には頭髪付の顔の皮膚までも売払ってしまった。