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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
24 流転の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页
象山を殺しておいて、なにくわぬ面で象山の家へ行って、平気で寝泊りをしていたのもこの男であります。剣術はさのみ優れたりとは見えないが、人を斬ることには凄い腕を持った男の一人であります。
或る時、或る席で数名の者が、ところの代官の悪評をしているところへ、川上が来合わせて、暫くその話に耳を傾けて、やがて外へ出てしまった。多分小便にでも出かけるのだろうと思っていると、やがて、平気な面をして立戻った川上を見ると、片手に生首を提げていた。それはただいま評判に上った悪代官の首であった――
当時、人を斬るといえば必ず斬った者が三人はある。武州の近藤勇、薩摩の中村半次郎(桐野利秋)――それと肥後の川上彦斎。
十二
根岸の御行の松の下の、神尾主膳の新屋敷の一間で、青梅の裏宿の七兵衛が、しきりに気障な真似をしています。
がんりきと違って七兵衛は、あんまり気障な真似をしたがらない男でありますが、どうしたものかこのごろは、しきりに気障な真似をしたがる。
というのは、毎晩、いいかげんの時刻になると、百目蝋燭を二挺までともし連ねて、その下で、これ見よがしに銭勘定を始めることであります。