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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

24 流転の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页

青空文庫

それも街道を真直ぐに逃げたんでは危険と思ったのか、わざと人家の裏へそれて逃げ出したから、裸松が、いよいよおこってわめき出し、

「御用提灯を粗末にされちゃ、おれは承知しても、加賀様が承知しねえ、待ちやアがれ!」

道庵を前にブラ下げたり、引きずったりしたなりで、逃げ行く侍たちのあとを追いかけました。そこで軽井沢の宿は家毎に戸をとざすの有様です。

しかし、この道庵の食い下り方が、非常にしんねり強かったために、裸松は思うように駆けることができず、とうとう三人の侍の姿を見失ってしまいましたから、裸松の怒りは一つになって、道庵の上に集まったのはぜひがありません。

「この筍……いらざるところへ出しゃばりやがって……」

哀れや道庵は、ここで五人力の犠牲にならなければならない。両刀を帯した三人づれの侍すらが避けて逃ぐるほどの相手を、いかに道庵でも、匙一本であしらわなければならないのは、心がらとはいえ、ばかばかしい話で。だから最初によせばいいのにといったのに、病では仕方がない。

そこで、ようやく道庵を振り飛ばした裸松は、二度ひょろひょろとして、三間ばかりケシ飛んで尻餅をついた恰好の珍妙なのと、口ほどにもない脆さかげんとに吹き出してしまって、