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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
24 流転の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 159,272 字 · 313 页
仮りにもこの本家の株を侵すようなものが現われた日には、全力を以てそれに当る――だが、こういう場合には、なんと引込みをつけていいかわからない。
ぜひなく、がんりきの百蔵は、田山白雲に向って、自分が今日この家をたずねて来たのはいつぞや、両国の楽屋を逃げ出した人気者の山神奇童を、こんど甲州の山の中で見つけ出したものだから、それを引連れて戻しに来たのだということをいい、来て見るとあいにく、お角が留守だったものだから失望したといい、どうかひとつその子供を、お角の帰るまで手許に預かってもらいたいということを、手短かに白雲に頼み、
「せっかく、御勉強のところを、お邪魔を致しまして、まことに相済みません」
がんりきとしては神妙なお詫びまでして、そこそこに引上げてしまいました。
最初の権幕に似合わず、がんりきの百蔵がおとなしく下りて来たものですから、梯子段の下に待ち構えて、いざといわば取押えに出ようとした力持のお勢さんも、ホッと息をついて喜んでしまいました。
九
その翌日から、田山白雲の周囲に、般若の面を持った一人の美少年が侍いている。それは申すまでもなく清澄の茂太郎であります。