轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
37 恐山の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 页
まさに書を読み、茶を煮るに堪えたる好夜だが、米友の行方だけが、少々気がかりにならぬではない。
百九十四
だが、それも案ずるほどのことはない、宇治山田の米友は、今、確実に湖畔の町の夜を歩いている。
夜といっても、それは月の何日に位するかは明瞭でないとしても、お銀様が胆吹の山をそぞろにさまよい出でた時分が、繊々たる鴉黄を仰いで出でた当分のことですから、宵にちらりと月影を見せたばかりの闇の夜なのであります。
青嵐の言うところでは、この静かな湖畔の町にも、何か殺気というようなものが漂っているそうだが、米友は実はその殺気をさがし求めて、こうして歩いているのだ。
といっても、青嵐のいわゆる殺気というやつと、米友がめざして歩いている殺気というやつとは、全然、その存在と名目を異にしているかも知れない。少なくとも、青嵐のいうところは、ある一定の発源地とか、対象とかいうものが存しているのではなく、民心の鬱結がおのずから相当の殺気というものを孕んで、禍機が不可思議の辺に潜んでいるらしい意味に聞えましたが、米友は、そんなような漠然たる妖気を見破らんがために歩いているのではない。