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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

41 椰子林の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页

青空文庫

さあ、その手詰めの試験台があの娘だ、あの娘を罪滅ぼしの試験台に、おれは仲間での出雲の神様になりてえ、そうでなければ浅草の粂の平内だ、おれをふみつけさえすれば、男女の縁は結んでやる、とこういう功徳の神様になって、罪滅ぼしをやりてえもんだが、さて、その小手調べが、どうなるものかなあ」

七兵衛は、こういうことに思い耽って、早速明日から、この島のうちで、誰にあの娘を授けてやったらいいか、その品定めにとりかかろう、物好きな品定めではない、当りがついたら、いやおうなしに縁を結ばせて、あの娘の持主をはっきりきめてしまうのだ。

こういう心持で、船の中の乗組、船頭、水手、楫取のすべての面を頭に浮べたが、どうも考えてみただけでは、これはと思わしい相手が思いつかない。あれは実直だが、老人だし、二十、三十の若い者があるのに、四十がらみの船頭にも持って行けないし、若いのをへたに選んだ日には、一方に恨みの種を蒔くようなものだし、はてさて、一同のうちに誰を見立てたものか、ほとほと七兵衛の頭が乱れます。

冗談じゃない、ではいっそ、七兵衛おじさん、お前の物にしちまったら……もともと、お前に授かったのじゃないか――全く冗談は言ってもらいますまい、第一、この坊主頭にてえして、そんなことができますかい、それに、今日まで男後家を立て通して来たと