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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

41 椰子林の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,374 字 · 345 页

青空文庫

而して後に通商貿易を盛んになすべきなり。本を忘れて末に走ることあるべからず。

近代は国難内外に起りて、志士東西に奔走すといへども、国本培養に心を注ぐの士、極めて乏しきは慨すべく歎ずべし。故に良き百姓は、世上の空言虚語に惑はされず、大いに食ひて大いに働き、自ら三年の糧を貯ふると共に、国に三年の糧を捧ぐることを本意と心得べきなり。百姓大腹なれば国富みて兵強く、百姓空腹ならば国貧にして兵弱し。つとめざる可けんや」

これを読み了った慢心和尚は大いに感心して、

「なるほど、なるほど――その通り、これに違いない、百姓の本分を知らせるには、『百姓』の文字から説いて聞かすが本筋じゃ、自分が百姓のくせに、百姓百姓と人を軽蔑する奴から退治せにゃいかん、天皇様と百姓の間をさまたげる、もろもろの寄生害虫から退治せにゃ、国は治まるものではござらぬ、百姓大腹ナレバ国富ミテ兵強ク、百姓空腹ナラバ国貧ニシテ兵弱シ、ツトメザル可ケンヤ――大賛成!」

慢心和尚が双手を挙げて賛成したものですから、百姓弥之助も大いによろこびました。

七十四

その前後、京都の二条城で勝麟太郎の受爵の式が行われました。