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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
中里介山『大菩薩峠1』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 页
七兵衛はお松の身受けに来たのだけれど、来て見ればお松の将来についてまた変った考えが出て来ます。
七兵衛はそれから、お松の身受けの金のこと、関東へつれて帰ってどうしようかということなどを、いろいろと考えているうちに眠くなって、うとうとと夢に入ろうとすると、
「御免あそばせ――あ、おじさん」
眠りに落ちようとした七兵衛は、物音に眼をあいて、そこへ入って来た美しい女の姿を見る。
「青梅のおじさんではないか」
女はこう言って跪いたので、七兵衛は身を起して、
「お松坊か――お松坊であったか」
「はい」
お松の姿は、三度変っている。第一は大菩薩峠の頂で猿と闘った時の笈摺の姿、第二は神尾の邸に侍女をしていた時の御守殿風、第三はすなわち今、太夫ほどに派手でなく、芸子ほどに地味でもない、華奢を好む京大阪の商家には、ちょうどこのくらいの振合いをした嬢様がある。七兵衛はお松の侍女時代を知らなかったから、その変ったことに目を驚かす。
「久しいことでございました」
お松はハラハラと涙。
「大きくなったなあ、美しいものになったなあ」
七兵衛の眼もなんとなしに潤うてきます。
「もう、この世ではお眼にかかれないかと思いました」