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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

中里介山『大菩薩峠6』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 页

青空文庫

山崎はこう言って自分の首筋を撫でて見せると、南条は抜からぬ面をして、

「実際、あぶないものさねえ」

と言いました。

「あぶないことこの上なし、今の江戸は将軍家がお留守で、お膝元の警備がゆるんでいるところにつけ込んで、たちのよくないいたずら者がウヨウヨしている」

「それとても、たかの知れた浮浪人の仕業ゆえに、大したことは、ようせまい」

「ところが、事体は意外に重大で、浮浪人の後ろには、容易ならぬ巨根が張っている、その根を断つにあらざれば葉は枯れない。どうです南条君、その巨根をひとつ掘り返してみたいものだが、手を貸して下さるまいか」

「拙者共でお役に立つならば、ずいぶんお手助けを致すまいものでもないが、いったい、その巨根というのは何者だ」

「それは三田の四国町あたりに巣を食っている」

「なるほど」

「つまり、いたずら者の本家本元は薩摩だ、薩摩というやつは実に不埒千万なやつだ、その薩摩を取って押えて、ふかしたり、焼いたりしてしまいたいものだ」

「なるほど」

南条はなるほどと言って、妙な笑い方をしました。

「薩摩を掘り返して、ふかしたり、焼いたりして食ってしまわなければ、江戸の市中は鎮まらん」